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マルチかシングルか?


 大学を卒業してからバイクの免許を取得したが、どうも4気筒は苦手だった。何だか機械的過ぎて愛着が湧かない、振動が少なくて乗った気がしなかった。ツインならまだしも単コロは尻がピリピリするし、あまりお気に入りには出合わず、バイク生活に別れを告げた。同じころの話でピアノ曲が聴きたくなって知人にオーディオを作ってもらった。今でも座敷の一角に鎮座するシーメンスのスピーカー。ラックスマンの真空管アンプはホコリが溜まって不安定になったが、後面開放型のスピーカーは衰えていない。もちろん適当に改造したから本来の音とは違うが、まあ美しい音が出ます。心配なのはコーン紙が手に入らないから、破れたら二度と修理できない。掃除ともなれば壊れ物に触る心地となる。ヤレヤレ。それでも高校時代から小遣いで集めていたレコードは六百枚まで数えたが、その後は数えるのも面倒になった。
 中学のころからレコードを聴いていたが、記憶を辿り直すとロクな音ではなかっただろう。何しろ真空管ラジオから携帯型の蓄音機になって、随分と音が良くなったと思ったほどだから、とてもオーディオファンとは言えないレベル。もっとも小遣いでLPレコードを集めるのは、当時の高校生としては無謀だった。読みたい本を我慢してレコードを買ったが、大学卒業までに六十枚くらいしか集まらなかった。しかも当時は中古が出回っておらず、レコード店では正価(現在と同程度)でしか売らなかった。極悪非道と叫んでも誰も聞いてくれないから、四十を過ぎてからリサイクル店巡りをする羽目に。まあ運良くオーディオファンの友人ができたせいかもしれない。
 半世紀前の蓄音機はシングルで、ステレオと称する箱も左右に二つのスピーカーがあるだけ。巨大なラジカセと考えれば直感できるだろうが、ラジカセそのものが分からないという若者も多いだろう。もちろんツイーターもバスレフも一部の愛好家しか付けておらず、レコードのもつ情報を全て音に変えてはいなかったと思う。少なくとも周波数帯域は中音が中心で、低音や高音を強調するといった芸当は不可能だった。回路を弄って低音を強調しても機械全体が共鳴振動を起こしてしまうから、現在のように全周波数帯域が聞こえてはいなかったはず。さらにレコードは聴けば聴くほど磨り減って音質が劣化するから、とても現代のオーディオと比較できない音質だった。
 半世紀の間に真空管から半導体になりスピーカーシステムも様変わりしたから、昔のステレオ装置で現在の音源を再生する気にはなれない。しかし高音も低音も出ない昔のシステムが悪いと決めつけるには躊躇する。なぜなら曲によっては中音だけの方が心地よい響きを楽しめるからで、とくに女性ボーカルやピアノは飽きが来ない気もする。少なくも現代のドンシャリより耳障りではないし、却ってモノラルに近い臨場感が味わえる。モノラルで臨場感と言うと怒られそうだが、5チャンネルやら7チャンネルといった360度の音場より、正面から語りかけてくるモノラルな感じの方が疲れない。というよりスピーカーの位置が固定した気がして、身近に音源があるように聴こえる。
 試しに左右のスピーカーを近づけてみると、何ともモノラル感が心地よい。もちろん日本の家屋は狭くて、スピーカーの間隔を広げるのが難しいから、多くの人々は50cm程度で聴いているだろう。もし1m以上の間隔で二つのスピーカーを置けば、最低でも3mくらいの距離をおかないと音が左右に分裂して聞こえる。これは微妙な感覚の問題だが、オーケストラの大劇場録音でもマイクの感覚は1m以内だから、スピーカーで再生する際に間隔を開け過ぎるのは良くないように思う。ボーカルやピアノの音が左右に分裂して聞こえるのは、スピーカーの間隔を開け過ぎているように思えてならない。たとえばコンピューターのモニターを中心にして左右にスピーカーを置くと、ボーカルが二人いるように聞こえてくる。とくに頭を少しでも動かすと、左右の音が調和しないこと夥しい。もちろん散人はイヤホンが嫌い。頭の中で音が鳴るのは許せないからだが、これも個人的な見解に過ぎない。
 できるだけモノラル的に聞こえるスピーカーを作ってきたが、密閉式やバスレフでは左右のユニット後面から出る逆位相音が、コーンの動きに干渉することに気づいた。この相互作用を打ち消すには箱体の内部で左右を分離すると同時に、逆位相音を消すことが重要となる。
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コメント

行き着くとシングルでしょうか。

ステレオ再生って、難しいと実感することが多々あります。
ホッとできて、疲れずに聞けるのはシングルでモノラル的な音だったりしますよね。(^^)

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プロフィール

sanbokudoujin

Author:sanbokudoujin
群馬県出身、悪名高い国立大学医学部卒業。現代日本に失望して仙人暮らしを数十年。30年ぶりに競技スキーを再開。土漆器やスピーカーボックスの製作、茶室や秘密基地建設など森羅万象。東北北海道文学賞、歴史浪漫文学大賞。

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